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診療科・部門紹介

疾患別治療指針



難治性口内炎

口内炎は一般に1-2週間で治癒しますが、難治性口内炎は原因が不明で、数週間経ってもなかなか治らないものです。通常は良性ですが時には前がん病変であったり、まれにがんに進行しているものもあります。口内炎が単なる口内炎なのかどうかを判断するには、血液検査や組織の一部をとって顕微鏡で細胞を調べたりします。
≫口腔前がん病変について

口腔乾燥症(ドライマウス)

唾液の分泌量が低下し口腔内が乾燥する状態が続く疾患です。 一般に唾液の量は加齢とともに低下しますが、 シェーグレン症候群などの自己免疫疾患や、種々の全身疾患や放射線治療により唾液腺が障害されると高度の口腔乾燥が生じ、食事がしにくくなったり、粘膜の萎縮により痛みが生じたりすることがあります。

また、口腔乾燥によって、口腔内細菌叢(そう)が変化し、口腔内に赤色、白色、潰瘍などを伴うこともあります。高齢者の方や義歯を装着したままの方では真菌(カビ)による口腔カンジダ症も現れます。長期間放置すると徐々に症状が増悪し、治療も困難になります。当院では他科との連携をしながら治療をすすめています。

顎関節症

口を開けたり閉じたりする時、あごがカクカクしたり痛くて開ける事が出来なかったりなどの症状が出ることがあります。そのような症状の多くは顎関節症という病気です。顎関節症はあごの関節や筋肉に異常な力がかかることによって発生すると考えられています。

通常開口訓練やスプリントと呼ばれるマウスピースを口の中に装着して治療をします。強い痛みを伴う場合は消炎鎮痛剤も併用します。

歯性感染症

健康な人でも、口の中には非常にたくさんの細菌が生息しています。虫歯、歯周炎からの感染は、口腔内にとどまるだけでなく、首の周り、喉の奥、上顎洞(蓄膿)といったところに広がります。このような場合、適切な治療を受けないと、腫れにより呼吸困難となったり、全身状態の悪化で生命の危機にさらされることがあります。

口腔外科では、このような重篤な歯性感染症について、臨床所見、画像診断、血液検査所見等より原因の同定を行い、点滴による抗生物質の持続投与、膿瘍の切開排膿処置を行います。必要であれば気管切開等の急性期に対する処置を行います。消炎後は原因歯の抜歯などの処置が必要です。

顎顔面外傷(骨折など)

頭頸部領域の外傷では、時に咀嚼、嚥下、会話など生命に関わる機能が障害されます。単独の歯の破折や脱臼の場合は一般歯科医院で治療も可能ですが、顎骨骨折や顔面の裂傷の治療は総合病院で受傷後早期の治療が必要です。

当院では救急救命センターや形成外科、耳鼻科、麻酔科と協力し、早期の治療を行います。

口腔悪性腫瘍

口の中や顎、唾液腺などの頭頸部にも癌は発生します。症状は、歯ぐき、唇、舌の腫れ、口からの出血、唇やオトガイ部の知覚異常(しびれ感など)、嚥下時の違和感、口腔粘膜の色の変化などが現れます。進行するとそしゃく、嚥下、会話に障害をきたすようになります。治療は手術が第一選択になりますが、病気の進行度により、放射線治療、化学療法(抗がん剤)を組み合わせて行います。

当院では、口腔外科・放射線科・耳鼻科・形成外科・リハビリ・緩和ケア科など関連チームと協力して口腔癌の治療に取り組んでいます。早期癌は手術療法、進行癌は超選択的動注化学療法(※)+放射線療法+手術を主体として良好な治療成績をあげています。術後の嚥下・言語障害の機能回復には、内視鏡(VF)検査やリハビリ治療により術後のケアも治療の一貫として行っております。
※超選択的動注化学療法について
病変のある領域を支配する動脈に、カテーテルを挿入し、そこから抗がん剤を流すことによって、癌のある領域だけに抗がん剤を注入するものである。癌に集中的に作用させ、抗がん剤の全身への副作用を軽減する治療方法。

口唇口蓋裂

口唇裂、口蓋裂は先天性疾患です。口腔は生命を維持していくために重要な器官が集まっています。口唇裂、口蓋裂では、障害される機能(咀嚼、発音、聴力など)、審美的、心理的問題がそれぞれの成長発達段階で生じてきます。

当院では口腔外科の手術はもちろんのこと、いろいろな分野の専門家(小児科、耳鼻科、形成外科、言語治療、矯正治療など)がチームを組んで治療にあたっています。当科ではホッツ床という特殊な保護床を早期から口蓋に装着して、哺乳改善と顎誘導を出生直後から行っています。

顎変形症

歯列不正、下顎前突、上顎前突は審美性とともに、発音、そしゃく等の機能が障害されます。軽度の場合は矯正治療だけで治すことができますが、高度な場合は手術で歯列の移動、上下顎バランスの修正を行う必要があります。当院では、地域矯正歯科との連携で治療をすすめています。

口腔前がん病変について

口腔前がん病変って何ですか?

口の中の粘膜にできる病気といいますと、みなさんになじみのあるのは口内炎ですね。しかし、ひとくちに口内炎といっても良いものから悪いものまで実にたくさんあります。
悪いものの代表は舌がんなどの口腔がんですが、最初からがんができるわけではありません。その多くは長い間、粘膜に病変が存在しています。それが口腔前がん病変といわれているものです。

口腔白板症

口腔白板症は口腔前がん病変の代表的な疾患です。粘膜の一部が角質化して厚く変化します。写真のように歯肉の粘膜が白く境界がハッキリしているのが特徴で痛みはありません。
歯肉以外にも舌、口蓋、頬粘膜によくできます。原因はよく分かっていませんが、喫煙や過度の飲酒が危険因子として挙げられています。

口腔扁平苔癬(たいせん)

粘膜に白いレース様の模様ができ、その内側が赤くなるのが扁平苔癬で、皮膚にも発症します。

原因はまだ分かっていません。白板症と違い接触痛を伴い、両側の頬粘膜に対称的にあらわれたり、歯肉や舌にもできます。

まぎらわしい病変

白板症以外にも粘膜が白く変化する場合があります。

喫煙者の白色口蓋
タバコのけむりで口蓋が白くなることがあります。喫煙をやめると治ります。

擦過性病変
合っていない入れ歯や金冠で慢性的な刺激でも粘膜が白くなります。原因が除去されれば治ります。

真菌(カンジダ)による白色病変
口の中には無数の細菌がわたしたちと同居していますが、かびもその一つです。高齢者の方で、だ液の分泌低下や歯磨き不良による口腔清掃状態の悪化、免疫機能の低下などでカンジダ性口内炎が起きます。この白色病変は拭うと取れますからわかります。

口腔がんは予防できるの?

口腔がん発症の危険因子はいろいろありますが、わたしたちの生活に密着したものとしては喫煙、過度の飲酒、口腔環境不良が挙げられます。これらはいずれも予防できるものです。喫煙習慣のある方は、是非禁煙してください。当院では、禁煙支援を積極的に行っています。

また、がんや前がん病変をもつ患者さんは緑黄色野菜の摂取が普通のひとにくらべて低下して、血液中のビタミンが低値であることが住民調査で明らかになっております。このことから口腔がんは生活習慣ととらえることができます。

口腔がんを予防するためには自分の生活を見直し、有害な生活習慣を改め、緑黄色野菜を多く摂ることが大切です。
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